今日のライブハウスでは大変なトラブルが起きていました。
電気の配線に雨水が入りこみ、
まったく電気が使えない状態。
朝一番にライブハウスから連絡を受け、
「最悪、公演の中止をするかもしれません。」
との事、
冗談じゃない、なにがなんでもやってやる。
と内心思いながら、
ライブハウスに向うと、
会場が真っ暗。
そこで電気工の方々とライブハウススタッフの方々が、
一生懸命に復旧に励んでいらっしゃいました。
まさに暗闇の中で足掻いていらっしゃいました。
冗談じゃない、なにがなんでもやってやる。
と思っているのは私だけではなかったのです。
そこに居る全員が見えない未来に向って全力で向っていました。
スタッフの方に声をかけると、
暗闇の中に笑顔を浮かべながら、
「みかんさんの言葉はいつも優しいですね」
と言われました。
冗談じゃない優しいのはあなたですから。
暗闇で一生懸命に、今居る自分の場所を支えている。
支えようと踏ん張っている、あなたこそが優しい人なのです。
開場の10分前にようやく復旧の報告が入り、
ライブハウス内が一気に明るくなり、
スピーカーのテストが始まりました。
電気工の方達がそれを真剣な目で見守ります。
大音量がホール内に響き渡り。
その音を聴きながら安堵の表情を薄く浮かべる電気工の方々、
男の顔です。
それから静かに開場に背を向ける電気工の方々、
男の背中です。
工事の経緯を聞くと、かなり大変な作業だった様子。
しかし大変さや、しんどさを微塵にも他者に感じさせない表情。
プロの表情です。
開場寸前に、
ライブハウスのマネージャーが、
「やーライブができるって幸せ」
と満面の笑顔で私に言いました。
仕事を愛している男の顔でした。
近所のライブハウス、
つまりライバル店の方が
「これは復旧のお祝いです」
と差し入れを運んできました。
私はミュージシャンです、
だから本来舞台裏の事を話すのはタブーなのです。
今日だけは特別。
そう特別な日でした。
帰宅すると昨日剥がれていたアパートの外壁が何事もなかったかのように奇麗に修復されていました。