2011年9月23日金曜日

台風一過


昨日の台風の影響で
今日のライブハウスでは大変なトラブルが起きていました。
電気の配線に雨水が入りこみ、
まったく電気が使えない状態。
朝一番にライブハウスから連絡を受け、
「最悪、公演の中止をするかもしれません。」
との事、
冗談じゃない、なにがなんでもやってやる。
と内心思いながら、
ライブハウスに向うと、

会場が真っ暗。

そこで電気工の方々とライブハウススタッフの方々が、
一生懸命に復旧に励んでいらっしゃいました。

まさに暗闇の中で足掻いていらっしゃいました。

冗談じゃない、なにがなんでもやってやる。
と思っているのは私だけではなかったのです。
そこに居る全員が見えない未来に向って全力で向っていました。

スタッフの方に声をかけると、
暗闇の中に笑顔を浮かべながら、
「みかんさんの言葉はいつも優しいですね」
と言われました。
冗談じゃない優しいのはあなたですから。
暗闇で一生懸命に、今居る自分の場所を支えている。
支えようと踏ん張っている、あなたこそが優しい人なのです。

開場の10分前にようやく復旧の報告が入り、
ライブハウス内が一気に明るくなり、
スピーカーのテストが始まりました。
電気工の方達がそれを真剣な目で見守ります。
大音量がホール内に響き渡り。
その音を聴きながら安堵の表情を薄く浮かべる電気工の方々、
男の顔です。

それから静かに開場に背を向ける電気工の方々、
男の背中です。

工事の経緯を聞くと、かなり大変な作業だった様子。
しかし大変さや、しんどさを微塵にも他者に感じさせない表情。
プロの表情です。

開場寸前に、
ライブハウスのマネージャーが、
「やーライブができるって幸せ」
と満面の笑顔で私に言いました。
仕事を愛している男の顔でした。

近所のライブハウス、
つまりライバル店の方が
「これは復旧のお祝いです」
と差し入れを運んできました。



私はミュージシャンです、
だから本来舞台裏の事を話すのはタブーなのです。
今日だけは特別。

そう特別な日でした。

帰宅すると昨日剥がれていたアパートの外壁が何事もなかったかのように奇麗に修復されていました。