おれは女がほしいあまりに、その女の気をひこうと躍起になって、
「なんでも言う事を聞くから、愛情をくれ」と、
相手に媚びて、泣きついて、しがみつくだろう。
金を払って買う事もあるだろう。
騙されている事が分っていながら、共に居ようとするだろう。
どんな虐待にも耐えるだろう。
自分の腕力や権力をみせつけて、無理矢理に言う事を聞かせようと勘違いするだろう。
愛情に飢えていれば、気を引くために、
世界で最も罪深い自殺すらするだろう。
愛されたい時、おれは不自由だ。
おれが自分自身の愛で満たされているなら、
相手の愛情なんて宛にしないで、
自分の愛だけで満足して、溢れる愛を相手に分けれるはずだ。
愛していれば、
相手の命を、時間を、金を、夢を、すべてを大切にできるはずだ。
金持ちが金ほしさに奴隷になったりは、しないだろう。
満腹の者が食べ物を求めて頭を下げたりはしないだろう。
今、幸福な人にとって、今以上の幸福など必要がないのだ。
人に愛されたい時、おれは不自由だ。
人を愛する時、おれは自由だ。