2012年5月11日金曜日


もしも敵がいるとして、
その敵に抵抗すると、
私が抵抗しただけ、
その敵は、より強力になってゆく。

煙草をやめたいと思い煙草を敵視すると、煙草はとんでもない敵になる。
ただ見つめていれば、
煙草はただの煙草だ。

太っている体系が気にくわなくて食事を敵視すると、食べ物達はより一層に「おいしそう」に見え始める。
特に「これを食べると太るよ」という観念を与えられた種類の食べ物は「おいしそう」にみえる。
実際に食べる時には、親の敵でもうつかのごとく
憎しみと怒りに震えながら 咽に流し込む。
ろくに味わいもしない。

失った恋への幻想は時間がたつ程に肥大して、新たに起きる恋の邪魔をする。

子供のころ大人に抵抗すれば大人はより強大で強い力でねじ伏せるだろう。
大人になり子供に抵抗すれば子供はより反抗的で手に負えなくなる。

隣の住人の小言がうるさく「うるせーよババア!」なんて心の中で思えば、
隣人の小言はエスカレートする。

犬を怖がれば犬はより一層よく吠える。


しかも
そのやっかいな敵は、
私の心の中にしか存在しないのだ。

私が敵視し抵抗すればするほどに敵は強大で大きく盤石のものに見え始める。