ありとあらゆる贅沢を尽くし
物に飽きた
退屈した。
あらゆる女を抱き
酒池肉林の乱痴気騒ぎに飽きた
退屈した。
妻との間に子を授かり
何不自由ない平和な家庭に暮らし
世俗的な安定に飽きた
退屈した。
退屈して家を飛び出した。
あらゆる苦行に身を投じ
あらゆる苦難の果て
やっぱり苦痛にも飽きた
退屈した。
退屈して諦めた。
家庭も社会的な努力も物も一切を放棄した。
退屈の極限まで退屈した。
自分の退屈と向き合った。
退屈と向き合うしかすべがなかった。
そして
退屈は爆発した。
それは光となった。
のちに彼はブッタと呼ばれた。